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玉本英子さんに聞くバグダッド報告 [その他の闘争日誌]

日曜の夜ということで、やや参加人数が危ぶまれたが、毎日新聞・朝日新聞多摩版がかなりの大きさの記事を掲載してくれたこともあり、40名の教室は満席になった。講演内容はきわめて刺激的なもので、足を使ったジャーナリストでなければなかなかつかみ切れない情報を提供してくれた。

玉本さんは大阪の人で、アジアプレス大阪事務所所属。あの北朝鮮問題のエキスパート石丸次郎さんとも同じ事務所である。イラク軍との同行でバグダッド市内を取材したときの記録フィルムを、ビデオカメラをプロジェクターにつないで投影、その映像を時々止めながら解説するという手法で講演は進められた。

バグダッドでは一部地域でクルド人の兵隊も投入されているのだそうだ。山岳戦では長けた彼らもバグダッドでの市街戦となると話が変わる。誰でも撃たれる。それが今のバグダッドだ。廃墟と化した通りを装甲車が行く。太平洋戦後の日本もB29の絨毯爆撃で焦土と化していたが、「内戦」ともいうべき状況がないだけよほどましだったろう。

シーア派の男性は語る。昔はみんな笑って楽しく暮らしていた、と。今は通りを歩いているだけで狙撃兵に狙われる町だ。廃墟と化した通りにしばしばぱーん、ぱーんと狙撃銃の銃声がこだまする。米軍の兵士にインタビューする、あなた方は歓迎されていると思うのか、と。ケースバイケースだそうだ。ギャングから家を守った時には歓迎されるのだそうだが。

ゴーストタウンのような町だが、胸にプレスの大きな字をつけた玉本さんが出て行くとどこからともなく人々が出てくる。みんな知ってもらいたいのだ、あの映画「ホテル・ルワンダ」での虐殺行為を知ってもらいたい人々のように。今バグダッドで何が起きているのかを。「アメリカが我々を占領している。アメリカはこの状況をうれしく思っているんじゃないか?アメリカはシーア派を野放しにしているんじゃないのか?」スンニ派の男性が語る。

学校の子供達は、1000人が、800人、500人と激減していった。みんなバグダッドから逃げ出してしまったのだ。その子供達はどこへ?イラク北部のアルビルへと取材現場は飛んだ。ここはクルド人自治区の街。バグダッドとは大違いに人が多い。普通の街なのだ。もちろん狙撃兵もいない。ここのジャワヒリ小学校と生徒に取材。大阪の小学校の子供達とエールを交換する取り組みも報告された。この学校はイラクでは珍しく共学で、シーア派もスンニ派の子供もいる。また、クルド人のイラク兵がシーア派スンニ派両派の人々を呼んで和解させ、ゴミ収集車を地域に回す試みもバグダッド取材のところで紹介されたが、クルド人がもしかしたら新生イラクで宗派対立の緩衝役になる可能性はないのだろうか?(簡単なことではないようだが)

玉本さんは、3年前はともかく、今は宗派対立が激化して簡単に米軍撤退を言える状況ではない、という。それくらいひどい状況なのだ。だが、この発言に対する質問に「イラク人全員は米軍に撤退してほしいと思っている。だが、今はそれを言えない状況にまで悪化しているということをわかってほしい」と付け加えて解説した。自国民同士で殺し合うところまでいってしまったイラクの現在。だがその事態を招いたのは、米軍の侵攻でもあった。フセイン政権そのものの抑圧・弾圧については玉本さんも許すところではない。非常に困難な課題を突きつけられた思いだが、米軍の存在がある限り、イラクでの戦闘は終わらない。それでも米軍撤退からしかすべては始まらないと思えるが。

それにしてもアジアプレスの人の講演は、本当に刺激的なものが多いな。


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tamara

ジャーナリストというのは本当にすごい仕事ですね。頭が下がります。何事もまず「知ること」から始まるのだから報道の意味は計り知れないほど大きいですね。目の前の危険から取りあえず守ってもらうために、米軍がいた方がいいというイラクの人の気持ちもよくわかります。それでも何の見通しもない、というのが悲しいです。
アメリカはどう責任を取るつもりなのか! 悪人に責任も反省も求める方が無理なのでしょうが・・・。
by tamara (2007-06-11 11:31) 

solea01

バグダッドでも取材は相当大変だったようです。知り合いがいる部隊でないと一緒に動けない。イラク軍の兵士でも、同行してそのまま誘拐されるなんてことがあるそうです。待ち伏せ攻撃などで、装甲車がやられるのはどうしようもないが、誘拐だけはアジアプレスにも負担をかけるし、徹底的に避けるべく注意したという話でしたね。そういう命がけの取材で得られた映像は実に説得力ありました。しかし、アジアプレスの人の講演聞くのはは4人目ですけど、どれも刺激的な話でしたね。米国の戦死者はさらに増えるばかり。ブッシュも悪事を働いたつもりはないわけで、それがかえって始末に悪いわけですが・・・。アメリカの正義が「世界の正義」だと思いこんでいる。
by solea01 (2007-06-11 20:06) 

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