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野良猫ロックシリーズ [映画・テレビ番組・演劇など]

 先月、今月と「野良猫ロック」シリーズをCSのチャンネルnekoやWOWOWでやっていたので初めて全5作を鑑賞する機会を得た。1970~71年にかけて立て続けに作られた作品で、時代の息吹や、その頃の若者のファッションや文化などを堪能するにはなかなかいい作品群ではないか。

もともと梶芽衣子という女優さんが好きで、それが見始めた理由。梶芽衣子と藤竜也は5作とも主演級で共通。ただし5作とも筋書きの連関は全くなく独立の作品。不良グループとその抗争は毎回のように出てきて、それに右翼団体や新興宗教団体、ベトナム脱走兵などがからんでくるという筋書きだ。筋書きそのものは単純で、いずれの作品も1時間半弱の短い映画。予算もあまりかかっていないだろう。人によっては他愛もない映画と言えば、そう片付けられるかも知れない。しかし、エンターティメントであれ、どこか時代との緊張感を残した作品は、時代を超えて語り継がれる。この作品群もそんな風に見える。梶芽衣子にとってはキャラクターを確立させた作品群で、後の「さそりシリーズ」や「キルビル」の元ネタ、「修羅雪姫」につながっていく。

脇役では范文雀(「サインはV」のジュン・サンダース)や地井武男などなどもしかしたら、年代によっては相当思い入れがある人も多いのじゃないかという俳優が並ぶ。毎回のように当時売り出し中だったり、人気のあった歌手がゲスト出演。1作目の「女番長 野良猫ロック」では和田アキ子が主人公(ただし事実上、梶芽衣子の方が重点の作品)。店で歌うフォーク歌手がアンドレカンドレ(後の井上陽水)。モップスやオックスも主演。他の作品ではにしきのあきらや 野村真樹、ゴールデンハーフ、スパイダースなどが各作品でゲスト出演。

当時、米国では「俺たちに明日はない」「イージーライダー」などに代表されるアメリカン・ニューシネマと言われる流れが起きていた。暴力とセックス、ヒッピーやコミューン、そしてその背景にあったベトナム戦争。生きる価値を見いだせない若者達の無軌道な青春を描いた作品群は、この野良猫ロックシリーズにも共通のものだ。ニューシネマへの日本流の回答だった、と言えないこともない。

5作ともハッピーエンドはない。1作目「女番長」では右翼の幹部との殺し合いで梶芽衣子と恋人が死亡。2作目「ワイルドジャンボ」では警官隊の狙撃でグループは全員死ぬ。3作目「セックスハンター」でも藤竜也&安岡力也(若い!スリムで今とは比べものにならない筋肉質のいい体)などが銃撃戦で死亡。4作目「マシンアニマル」でもスウェーデンへ密航しようというベトナム脱走兵は対立グループの妨害で逮捕され、藤竜也の相棒(岡崎二朗)も射殺される。5作目「暴走集団」でも梶芽衣子、地井武男らは爆死、という有様。「俺たちに明日はない」のである。

印象的なシーンでは「セックスハンター」は立川が舞台。ちょっとだけ反戦塹壕や反戦旗がなびいていた砂川が冒頭で登場。今も大して変わらない米軍基地跡地など興味深い。「ワイルドジャンボでは夢の島でうち捨てられた第五福竜丸(今は展示館に保存されているが)前で、外国人(米国人か?)が記念撮影をするシーン。「マシンアニマル」ではベトナム脱走兵を登場させたこと自体が、時代の流れと言えるだろう。いずれも基地問題を訴えようとか、政治的な主張が行われるわけでは全くないのだが、目に焼き付くシーンではある。

オートバイは毎回のように手軽な不良グループの乗り物として登場するが、1作目では新宿地下街でのバギーとCB750Kのチェイス、4作目では当時売り出しが始まったダックスホンダによるサイドカー追撃シーンなどが見所。ヤマハのDT1という懐かしのトレールバイクもよく使われている。バイクファンは必見?

70年以降、全共闘運動は終息へ向かい、この5本の全作で登場する「銃」は72年、連合赤軍事件で国家権力への対峙に使用される。その悲惨な末路と「内ゲバ」と言われる党派間抗争の激化は、70年前後をピークにした反戦運動の高揚を終焉に導いた。そんな時代背景のなかでこの5作は作られた。監督は藤田敏八と長谷部安春が担当。このふたりにとっても路線を確立する上で重要だった作品群ではないだろうか(藤田はこの後代表作「八月の濡れた砂」を撮ることになる)。

万人に進められる映画ではないが、上記のような時代背景を知るものには結構面白く見ることが出来るかも知れない。カルトムービーと言っていい、少数の人びとに強く支持され続ける作品群ではあるが。


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コメント 3

こんばんは。

綺麗な方と写真眺めていたら。
梶芽衣子さんだったんですか、いまでも綺麗ですよね。

ニューシネマの時代に。
こういうシリーズ映画あったんですね。
僕は個人的には。
アメリカ映画が一番想象力に溢れてた時代だと思ってます。

卒業。
イージライダー。
明日に向って撃て。
とか。
みんなハッピーエンドでは終わらない。
混迷した時代がよく判りますよね。
by (2007-09-27 00:08) 

solea01

脚本など短期間で次々に書かれたようで、雑と言えば雑です。若者の無軌道な青春を描いたものでは、藤田敏八のものではこの後の「八月の濡れた砂」の方がずっと完成度が高いとは思います。ですが、そこへ至る足がかりとして、荒削りながらこのシリーズの存在意義もそれなりにあったのでは、と思えますね。

2作目でガンマニアの青年を演じる俳優、前野霜一郎は後に軽飛行機で、右翼の児玉誉士夫(ロッキード事件被告)の自宅に特攻するという大事件を起こしました(1976年)。いろいろエピソード的な部分でも興味深いものがある「野良猫ロックシリーズ」です。
by solea01 (2007-09-27 20:23) 

サンフランシスコ人

「野良猫ロック マシン・アニマル」....10/5 サンフランシスコのメキシコ街の映画館で上映....

http://www.roxie.com/ai1ec_event/stray-cat-rock-machine-animal/?instance_id=22180
by サンフランシスコ人 (2017-09-09 06:11) 

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